複数の制作会社に見積もりを依頼すると、金額に2倍、3倍の差が出ることがあります。この差の主な原因は、ページ数の多い少ないではありません。「何を作るかがどれだけ決まっているか」の差です。
同じ「10ページのコーポレートサイト」という依頼でも、内容が固まっている場合と、これから決める場合とでは、必要な作業量がまったく違います。見積もりがぶれるのは、この見えない部分を制作会社側が「たぶんこのくらいだろう」と見積もっているからです。
ページ数は、実は見積もりへの影響が小さい
ページを1枚追加する作業自体は、テンプレートが決まっていれば大きな負担にはなりません。文章と画像を流し込み、レイアウトを整えるだけの作業だからです。5ページが10ページになったところで、金額が単純に2倍になることは多くありません。
金額を大きく動かすのは、次のような「決まっていないもの」です。
- 誰に何を伝えるサイトなのか(ターゲットと目的)
- 掲載する文章や写真を、誰がいつまでに用意するのか
- トップページの構成やデザインの方向性
- 問い合わせフォームの後、どう運用するか(自動返信、通知先、スパム対策など)
- 公開後に自分たちで更新するのか、頼み続けるのか
これらが未定のまま見積もりを依頼すると、制作会社は「打ち合わせを重ねながら決めていく」前提で工数を積みます。決める作業そのものに人の時間がかかるため、金額に幅が出るのです。逆にこれらが依頼側で決まっていれば、制作会社がやることは「形にする」作業だけになり、見積もりは安定します。
文章と写真の準備が、見積もりを最も安定させます
見積もりを安定させる要素の中で、影響が大きいのが文章と写真の準備です。制作会社に「良い感じに書いてください」と任せると、ヒアリング、原稿作成、確認と修正のやり取りが発生し、ここに多くの時間が使われます。案件によっては、人にインタビューして文章を起こす作業のほうが、コーディングより時間がかかります。
会社の強み、実績、代表者の考えといった文章を先に用意できるなら、その分だけ見積もりから不確定要素が減ります。逆に「サイトを作りながら会社として伝えたいことを固めていきたい」という進め方自体は悪いことではありませんが、それは制作費用ではなく企画・コンサルティングの費用が別に発生する話だと理解しておく必要があります。
見積もり前に決めておくと差が出る3つ
すべてを事前に固める必要はありません。ただし、次の3つだけは見積もり依頼の前に言語化しておくと、複数社の金額を正しく比較できます。
- 目的:問い合わせを増やしたいのか、採用のために信頼感を出したいのか、単に存在を示せればよいのか
- 素材の有無:文章や写真を自分たちで用意できるか、ゼロから作ってもらう必要があるか
- 公開後の運用:自分たちで更新するか、更新のたびに依頼するか
この3つが曖昧なまま見積もりを比べると、安い会社は「決まっていない前提で最低限」を出し、高い会社は「決めるところから伴走する」前提を出している、というだけの差になり、比較になりません。逆にこの3つさえ揃っていれば、ページ数が多少前後しても金額の見通しは大きく崩れません。
なお、公開後の運用については、管理画面を持つことのリスクも判断材料になります。この点はセキュリティへの考え方で扱っている内容が参考になります。